契約の婚約者
----翌日、月曜日。


沙希は思いっきり寝不足で出社した。


腰が痛くてパソコンデスクに長時間座っていられず、色々な部署に顔を出してはサボっていた。気が緩めば、エレベーターの中でも寝そうな勢いだ。


昨夜あの後、片桐と沙希がバスタブで大人しく身体の洗いあっこ----などで済むわけもなく、そのままバスタブで2回戦目に、そしてベッドへ移動して3回戦目へと突入した。


全く33のオッサンのどこにそんな精力と体力があるのだろうか、と不思議に思う。


それにしても、奈央や修一のことをバカにできない、と沙希は自嘲した。


流石に大人な片桐は、修一のように見えるところにキスマークをつけるという幼稚な真似はしないが、沙希の方はどうやら自信がない。


というのは、自分が何をしていたのか、記憶にないのだ。身体中に噛みついていたような気がする。


残っているとしたら、キスマークより、歯型かもしれない。



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