契約の婚約者
「カタギリさん……」


「どうした?」


唇を離した沙希が甘えるように片桐を見つめる。


「我慢できない……」


「----メシが冷める」


片桐は目を細め、沙希を嗜めるように言うが、彼の中心が熱を持ち、硬くなっていくのを感じる。


「人に欲しいって言わせておいて……カタギリさんは我慢できるの?」


沙希は手を片桐の下腹部へと伸ばしたかと思うと彼の前に跪く。


「……っ……沙希……」


「もう、こんなに硬くなってるくせに。さっさと挿れてよ……」


強気の言葉と態度とは裏腹に、沙希の目が潤んでいる。


こんな沙希を見るのは初めてだ。下から上目遣いに懇願されるように見つめられれば、片桐の最後の理性も一気に吹っ飛ぶ。


せっかく晩飯を作ったのに、と零しながら、片桐は溺れるように沙希の身体に引き寄せられその場に彼女を押し倒した。



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