契約の婚約者
「ただでさえお腹すいてたのに運動したらもうムリ。動けないくらいお腹すいた」


腕の中で、可愛い婚約者は「早く準備して」と懇願する。


「沙希、お前の欲に対する忠実さには感心するよ」


「人間だもん、当たり前じゃん」


「人間は理性や配慮というもので欲を制するもんだがな……」


片桐はフッと笑い沙希の額に軽くキスを残し、ベッドから離れた。


「軽くシャワーくらい浴びせろよ?」


「え~じゃぁ、5分で済ませてね?もうお腹すいて死にそう……」


「だからっ……」


だから言っただろう、と咎めようとしたが、自分も止められなかったと、片桐は自嘲しながらバスルームへと向かった。



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