契約の婚約者
キッチンでは、片桐がビール瓶を片手に、遅くなったディナーの準備をしていた。
髪を乾かさずに準備をしてくれたのだろう、下りた前髪から雫が落ちている。
前髪が下りている方が好きだな、と片桐の横顔を眺めていると、ガーリックとトマトソースの匂いに、沙希のお腹が大きく鳴った。
その大きな音に片桐は呆れた視線を沙希に落とす。
「色気のないヤツだな……その格好は非常に色っぽいんだが」
「うるさい。お腹すいたから早く食べようよ」
沙希はお皿を受け取ると、さっさと席につく。
「シャワーはいいのか?」
「後で浴びる。面倒くさいからカタギリさんのシャツ借りたよ?」
「別に構わないが、珍しいな……お前は人のシャツとか嫌がるかと思ったが----」
「う~ん……基本的に嫌い。でもカタギリさんはいいかな?カタギリさんの匂いがして抱きしめられてるみたいで何か安心するんだよね」
沙希はそう言いながら、シャツの袖の匂いを嗅いだ。あっ、やっぱり匂いがする、とクスクス笑う。
そんな沙希の仕草を、片桐は唖然とした顔で見遣った。
髪を乾かさずに準備をしてくれたのだろう、下りた前髪から雫が落ちている。
前髪が下りている方が好きだな、と片桐の横顔を眺めていると、ガーリックとトマトソースの匂いに、沙希のお腹が大きく鳴った。
その大きな音に片桐は呆れた視線を沙希に落とす。
「色気のないヤツだな……その格好は非常に色っぽいんだが」
「うるさい。お腹すいたから早く食べようよ」
沙希はお皿を受け取ると、さっさと席につく。
「シャワーはいいのか?」
「後で浴びる。面倒くさいからカタギリさんのシャツ借りたよ?」
「別に構わないが、珍しいな……お前は人のシャツとか嫌がるかと思ったが----」
「う~ん……基本的に嫌い。でもカタギリさんはいいかな?カタギリさんの匂いがして抱きしめられてるみたいで何か安心するんだよね」
沙希はそう言いながら、シャツの袖の匂いを嗅いだ。あっ、やっぱり匂いがする、とクスクス笑う。
そんな沙希の仕草を、片桐は唖然とした顔で見遣った。