契約の婚約者
私が知らないわけないでしょう、と沙希は心の中で呟いた。
沙希の情報収集のネットワークは人事部の部長クラスまでおよぶ。
修一が一時的に本社に呼び戻されただけだ、ということは最初からわかっていた。
奈央に教えなかっただけだ。
修一が本社にいる2ヶ月の間にこの友人が振り回されて慌てふためく姿が見てみたい、というサディスティックな考えがあったことは否めない。
「昨日奈央が倒れたって聞いて一応心配して医務室行こうかとしたら山下が教えてくれた」
山下とは、奈央の元カレだ。沙希曰く、奈央にも負けずとも劣らないドMだそうだ。
「あっ、そっか……というか、私の心配は一応なの?」
心配?
----は、した。珍しく自分にしては、かなり心配した。だから、医務室にも足を走らせた。
沙希の情報収集のネットワークは人事部の部長クラスまでおよぶ。
修一が一時的に本社に呼び戻されただけだ、ということは最初からわかっていた。
奈央に教えなかっただけだ。
修一が本社にいる2ヶ月の間にこの友人が振り回されて慌てふためく姿が見てみたい、というサディスティックな考えがあったことは否めない。
「昨日奈央が倒れたって聞いて一応心配して医務室行こうかとしたら山下が教えてくれた」
山下とは、奈央の元カレだ。沙希曰く、奈央にも負けずとも劣らないドMだそうだ。
「あっ、そっか……というか、私の心配は一応なの?」
心配?
----は、した。珍しく自分にしては、かなり心配した。だから、医務室にも足を走らせた。