契約の婚約者
自分の中のわけの分からないこのどす黒い感情を奈央に悟られないよう、彼女の話に沙希は当たり障りのない返事のみ返した。


「それにしても嫌味なヤツよね……」


「えっ?何が?」


「カルチェでリングなんて……同じフィフスアベニューのティファニーにでもしとけっての!」


「うん、私もびっくりした……」


奈央の話を一通り聞いて沙希はかなり驚いた。


あの下半身男が奈央にプロポーズしたらしい。しかもカルチェのリング付き?


バカじゃん!


奈央は『Yes』と答えたらしい。


そして、ニューヨーク支社へ転勤する話も受けるのだろう。



< 36 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop