契約の婚約者
「この幸せそうな顔して!!」


沙希はテーブル越しの奈央の頬を思いっきりつねった。


かなり力を入れていたと思う。


沙希もどうしていいか分からない。


幸せそうなこの友人が妬ましいわけではない。


沙希は生まれてこの方、他人を羨むことなどなかった。


一条の家で息苦しい思いをしてはきたが、本来自分が大好きなのだ。


だから、今、この友人に対して何故こんなに腹が立つのか分からない。



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