契約の婚約者
10分ほどして、片桐が戻ってきた。相変わらずインターホンを鳴らし続けるが、沙希は思いっきりそれを無視した。


この際、近所迷惑でも何でもいい、絶対に入れてやらない、そう心に誓った。


が、片桐の次の言葉でそれも砕け散る。


「沙希、ドアを開けないと、俺とお前が婚約していることを会社でバラすぞ?」


「なっ……」


「俺は別にかまわないけどな?どうする?」


ガチャ……


勝者の旗は片桐に上がった。



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