契約の婚約者

「沙希、お前が俺を本気にさせたんだ。責任取れよ？」


な、にを言っているんだろうか？頭がおかしくなったのかもしれない。


「カタギリさん？言っている意味がわかんない」


「お前は……まぁ、いい。今日はこれで帰るが、明日から覚悟しろよ？」


片桐の言っていることが理解できない、と呆気に取られていると、腰を引かれ、片桐の腕の中に納まる。


ジタバタともがくが、やはりびくともしない。


諦めて片桐を見上げれば、嬉しそうに笑っている。



ドックン……



心臓が止まりそうな勢いで大きく脈打った。


自分の胸に何が起こったのか理解できない。