Buonanotte!
――――――。
誰も私には気付かないんだと思う。
あの人を失った私にはもう何も残らなくて。
何もないまま、空っぽのまま私は死ぬのだと思った。
「君がいるだけで迷惑がかかるんだ。」
そう言ったのは誰だったのかしら。
「君は死ぬべきなんだよ。」
そう言ったのは誰?
誰でもいいや。
私はもう出てきてしまったのだから。
あの何もない白い部屋から。
路地裏で静かにうずくまった。
このまま独りで死ぬんだわ。
そんなことを考えていると近くで誰かの足音がして。
「泣いてるの?」
透き通ったアルトの声がした。