Buonanotte!
 顔を上げれば私を見下ろす少年が一人。


今にも倒れそうに見えるのに、しっかりと地面を踏み締め確かに立っていた。



私と同い年なのかなぁ。





じっと見ていると少年は寝癖で立っている自分の髪の毛を弄びながらシニカルに笑ってみせた。



「ハロー。」

少年が言った。


「・・・・・・だれ?」

私が尋ねた。


「誰でもないよ。」


「意味わかんないよう。」










ヘラヘラ笑った少年は、まるで替え歌を歌うように言った。


「殺し屋、サ。」









だから私は答えた。
まるで歌を口ずさむような口調で。


「じゃあ、誰でも殺せるの?」













「違うよ。」


ヘラヘラ笑うどう見ても普通の少年が私の手に飴玉をひとつ落とした。




「僕は殺し屋だけど死神じゃないからねー。」



それから自分も飴玉を口の中で転がしながら私の隣に座った。



「君の名前は?」

「・・・亜桃。」

「あとう、か。よろしく、亜桃。」




それが私と彼の始まり。



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