蝶
はじまり
「で、クリスマスどやったん。」
いつもの地元の居酒屋。
少し酔いが回り始めた頃。
藤田くんと平野くんが
にやにやしながら聞く。
「どやったんて…何がですか~」
極力思い出したくない話題なので
これ以上追跡されないよう
軽く笑って流そうとした。
「楽しかった?」
…苦笑い。
「分かりやすいなお前。」
「やめてください。」
頭をわしゃわしゃなでる藤田君の手を
冗談っぽくぴしゃりと払い除けた。
「荒れてるっすね。」
平野君が憐れみの表情で見つめる。
結局、質問攻めにされるうちに
ぽつりぽつりと愚痴を語る。