日付が変わるまで飲んだあと、
じゃあ解散という時に
藤田君が駄々をこね始めた。

「帰っても暇やん。
三澤くん飲んでへんし
ドライブしよーやー!」

僕明日早番やねんと
しぶっていた三澤くんも
あまりのひつこさに折れ
そのまま夜景スポットに向かう。
何人かはそれぞれの事情で
帰ってしまったけれど。

助手席に綾香が乗り、
後ろに私と藤田君が並んで座った。
少し酔っているのか
やたらとくっついてくる。

「もー!狭いし!」
「お前がデブやしや。」
「は、最悪。まじで離れて。」

そんなやり取りをするなか
前の二人はひたすら無言。
そんなことお構いなしに
藤田君はじゃれついてくる。

二人の笑い声だけが響く。

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