蝶
少し汗ばんだ温もり。
弘樹以外の男にドキドキしている
単純な自分が嫌で
そんな心から目をそらすように
藤田くんの方は見ないようにした。
何を考えてるん?
こんな狭い車の中じゃ聞けなくて。
急に黙りこむなんて不自然だから
さっきみたいな冗談を言おうと思うのに
言葉が喉元で戸惑っている。
「着いたよー」
やれやれというかんじの
投げやりな三澤くんの一言で
反射的にパッと手を離す。
車から降りた。
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