「き、れー…」

目の前に広がる宝石みたいな夜景に
思わず目を奪われた。

「やろ!齋藤さん元気ないし
連れてきたろーおもてんやん!」

すっかり得意気な藤田くんに
運転したんは俺やと
三澤くんが不平を漏らす。

なんで平気なん?
やっぱり冗談なん?

うじうじ考えている自分が
ばからしくなった。
手つないだだけ、
中学生じゃあるまいし。

「でも生駒の方が綺麗ねんで。」
「…もうお前一生車乗せへん。」
「ごめんって三澤くん~。
なあもう寒いし帰ろ。」


やっぱりどこまでも
自分勝手だ。


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