蝶
隣に気配を感じて、 斜め上を見上げる。
そこから自分が何を考えていたのか
よく覚えていない。
藤田くんの顔が近くにあって
ゆっくり近づいてきて
何してるんですか
って言おうとしたけど
切れ長の鋭い目が閉じられ
その顔がやけに色っぽくて
気がつけば、下唇をはさむような
優しい優しいキス。
さっきみたいな
唇を押し付けるような
乱暴さはなかったけど、
優しいのにどこか強引なキス。
ゆっくり離れて、一瞬目が合う。
少し迷って私は…
目を閉じた。