蝶
「齋藤さん、前見てみ、」
階段をのぼりきると
「…なにこれやばい…
え、すごい…!!!!」
目の前の景色に
言葉を奪われた。
「きれー…」
夜景が宝石みたいに
広がっている。
「三澤とかと行ったとこより
全然綺麗やろ!
齋藤さん彼氏と微妙で
ずっと元気なかったし
連れてきたかってん!」
そういって笑う彼は
いつもの優しいお兄ちゃん。
「めっちゃ嬉しいです!
あたしラブホ連れてかれると思った~」
「なんやねんちゃうわ!笑
大事な妹が落ち込んでたら
そら心配なるやろ。」
あたしの頭を
わしゃわしゃする。