Love Pierrot
恐る恐る後ろを振り向くと、成宮くんが怖い形相で睨んでくるのが分かる。
え?あたし何かした?
「…熱あんの?」
「え」
もしかして心配してくれたのかな?
無愛想な成宮くんにあたしなんかに心配するわけないよね…?
あたしは横に首を振ると、『…んー』と悩んだように首を少しだけ傾げている成宮くん。
あたしが悩んじゃうよ。成宮くんの言葉に。
「大丈夫だよ?」
「あー…あっそ。さいなら」
優しいと思ったのにすぐに冷たくされて、あたしの高鳴る心臓が少しズキッと鳴った。
自惚れてしまいそうな程、滅多にない優しさだったのに…ちょっとショック。
あたしは『ありがと』だけを返すと、教室を早々と出た。