蝶々結び

「大丈夫?」



優田は心配そうに私を覗き込んだ。



「大丈夫・・・。」


私は続けた。




ドンッ!!


嫌な音が廊下から聞こえた。
母が父に殴られ、倒れた音だった。


亜悠花はその光景を見て、青くなった。


滅多に泣かない母が大泣きし、足をおさえていた。
母の足は爪がはげ、血が流れていた。

父は目が充血して、顔も真っ赤になり、酔ってろれつの回っていない口で何かつぶやいている。



亜悠花はこんなに恐ろしいものを、初めてみた。



それから父は精神科病院に入り、残った4人は今の家に引っ越して来た。



父が今どうしているかは・・・知らない。


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