私と私。
放課後になり、私は藍の誘いを断った。




高橋が気になる。


いろんな人間を見てきたけど、妹のことが好きなんて人を、初めて見た。



多分、高橋は放課後どこかで妹と待ち合わせをして一緒に帰るんだろう。


探しに行ってみようと思い、廊下に出てみた。




…いた。



探しに行ってみようと思ったのに、廊下の隅に一人で座ってる。



私は高橋のところまで走った。




「高橋君。今から帰るの?」


私がそう尋ねると、高橋はゆっくりこちらを見上げた。



「そうだけど」


「私の名前分かる…?同じクラスなんだけど。


「わかんねぇ。


「橋本晴香だよー。覚えといてね!!」



私が言い終わると、高橋はすぐに目を逸らした。


「ちょっと高橋君に聞いてみたい事があるんだけど!!」



高橋は、めんどくさそうにまたこちらを見上げた。


「なに?」


「ここじゃちょっとあれだから、体育館の裏行かない?」


「行かない。」



高橋がすぐに言った。



「妹の事好きなんだよねー?私、知ってるよ。」


耳元でぼそっと言った。


「な…」



高橋は相当びっくりしたみたい。


「着いて来てー」



高橋を無視して、私は体育館の裏へと歩きだした。
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