私と私。



「そっか…。」


私は何も言えなかった。


適当に返す事は出来たはずなのに、何も言えなかった。


軽い気持ちで聞いてしまった自分に腹が立った。


でも少しだけ、嬉しかった。


そんな事、私に話してくれた。




高橋はこちらを向いた。


「お前は…?」



なんの事かわからない私は、とりあえず聞き返した。


「お前だっていっつも笑ってねーじゃん。
回りは気付いてないかもしんねーけど、俺は気付いてた。」



なんだ…。私を見てくれてる人がいたんだ。


まかさ高橋だとは思いもしなかったけど。



「ねぇ、今日初めて話した高橋に聞いてもらうのもなんだけど、私の話しも聞いてくれる?」




「おー」


無愛想な高橋がほんの少しだけ微笑んだ。
< 18 / 47 >

この作品をシェア

pagetop