私と私。
「うん、なんとなくだけど、分かってた。
晴香の気持ちがない事。」
「え…?じゃあ、なんで…」
「そんなの、好きだから、一緒にいたいからに決まってるよ。
俺は晴香が本当に好きだから…。
好きになってもらおうって、努力したけど…」
なんで。なんでそうなの?
私なんか好きになる価値ないのに…
適当に、遊びで付き合ってくれればいいのに…
「結局、俺の片思いだったけど、正直な気持ちが、最後に聞けてよかった。
ありがとな。」
黙って俯く私の頭を、優しく撫でてくれた。
もう、なにやってんだろ。
こんないい人、いないよ。
本当、最低…。
私は何も言えなかった。
ごめんねも、ありがとうも、違う気がして。
いつものように優しく笑う孝明に、なんか、涙が出た。
「…孝明。
幸せに、なってね。」
家の前に着いて、ようやく言えた言葉。
「晴香よりもっといい女、見つけるから!!
晴香も頑張れよ。」
じゃあなって、孝明は車を走らせていった。
ばいばい、孝明。
絶対あんたは、幸せになれる。
もう、こんな女に引っ掛かったら駄目だよ。
ばいばい…。