私と私。









「うん、なんとなくだけど、分かってた。

晴香の気持ちがない事。」



「え…?じゃあ、なんで…」


「そんなの、好きだから、一緒にいたいからに決まってるよ。

俺は晴香が本当に好きだから…。

好きになってもらおうって、努力したけど…」




なんで。なんでそうなの?

私なんか好きになる価値ないのに…


適当に、遊びで付き合ってくれればいいのに…




「結局、俺の片思いだったけど、正直な気持ちが、最後に聞けてよかった。

ありがとな。」




黙って俯く私の頭を、優しく撫でてくれた。


もう、なにやってんだろ。

こんないい人、いないよ。



本当、最低…。



私は何も言えなかった。


ごめんねも、ありがとうも、違う気がして。



いつものように優しく笑う孝明に、なんか、涙が出た。



「…孝明。

幸せに、なってね。」



家の前に着いて、ようやく言えた言葉。



「晴香よりもっといい女、見つけるから!!

晴香も頑張れよ。」



じゃあなって、孝明は車を走らせていった。





ばいばい、孝明。


絶対あんたは、幸せになれる。


もう、こんな女に引っ掛かったら駄目だよ。




ばいばい…。
< 25 / 47 >

この作品をシェア

pagetop