私と私。
聞きたくもない話しを適当に聞き、やっと俺は、あの場所から逃げ出す事が出来た。
「なんなんだよ…」
部屋のベッドに倒れ込み、必死に頭を働かせる。
家族ぐるみの付き合いで。
二年も付き合っていて。
非の打ち所もない、優しい男で。
俺の方が、あいつより圧倒的に真由と過ごした時間が長いはずなのに。
俺よりも、いろんな真由を知っている男。
必ず訪れる現実だったのに。
覚悟は出来ていたはずなのに。
まさか、こんなに辛いとは思わなかった。
くわえかけた煙草を、俺は灰皿へ投げた。