アジアン・プリンス
(4)プリンスとの出会い
調査はしたはずだ。彼は自国の調査機関がもたらした情報を信じている。
事件の真相はともかく、ミス・クリスティーナ・メイソンは友人も恋人も作らず、結婚の意志もない。優秀であることは明白だが、人と触れ合うこともせず、図書館の司書として、本とだけ向き合う毎日だ、と。
メイソン家は厳しい家父長制の家であるから、当然のように娘は父の意思に添って婚姻を決めるであろう。
この婚姻は彼女の名誉をなんら貶めるものではない。むしろメイソンという小さな檻を出て、アズウォルドで自由に生きられる。
(王家という見えない檻を嫌がったのであろうか?)
レイは小さくため息を吐きながら、王太后である母の姿を思い浮かべた。
屋敷に添って中庭をグルッと回った時、思案するレイの耳に何かが落ちる音が聞こえる。彼が首を傾げる間もなく、目の前にロープ状の白い布が垂らされた。
(なんだ、これは?)
何かが足に当たり……拾い上げると女性用のハイヒールだ。不思議に思い、見上げた彼の目に映ったのは――。
黒いストッキングに包まれた挑発的な脚と、同色のガーターベルトが巻かれた白い太もも、そして、その奥に見える不釣合いな純白の下着であった。
『なっ! 何をしているのだ、君は!』
事件の真相はともかく、ミス・クリスティーナ・メイソンは友人も恋人も作らず、結婚の意志もない。優秀であることは明白だが、人と触れ合うこともせず、図書館の司書として、本とだけ向き合う毎日だ、と。
メイソン家は厳しい家父長制の家であるから、当然のように娘は父の意思に添って婚姻を決めるであろう。
この婚姻は彼女の名誉をなんら貶めるものではない。むしろメイソンという小さな檻を出て、アズウォルドで自由に生きられる。
(王家という見えない檻を嫌がったのであろうか?)
レイは小さくため息を吐きながら、王太后である母の姿を思い浮かべた。
屋敷に添って中庭をグルッと回った時、思案するレイの耳に何かが落ちる音が聞こえる。彼が首を傾げる間もなく、目の前にロープ状の白い布が垂らされた。
(なんだ、これは?)
何かが足に当たり……拾い上げると女性用のハイヒールだ。不思議に思い、見上げた彼の目に映ったのは――。
黒いストッキングに包まれた挑発的な脚と、同色のガーターベルトが巻かれた白い太もも、そして、その奥に見える不釣合いな純白の下着であった。
『なっ! 何をしているのだ、君は!』