アジアン・プリンス
『――――以上のように、我が国の王室法は変わります。アズル王室は、新しい時代に相応しい変化を遂げました。今はもう、21世紀です。国家間の問題を、婚姻で解決する時代ではなくなりました。この太平洋だけでなく、世界の平和を維持するために、我が国は努力と協力を惜しみません。我々は、様々な問題を対話により解決に導くことが可能な“人間”です。今こそ、我々人類は、それを証明すべきなのです!』


それは、1ヶ月後にアズウォルド国王として即位することが決まった――レイ・ジョセフ・ウィリアム・アズル皇太子の、全世界に向けた宣言だった。



――国王の容態が悪化、公務は不可能。

そういった内容の報告書が、王宮医師アダム・ラスウェルより議会に提出された。

これまで度々計画しては、チカコにより断念を余儀なくされたものである。今回、チカコの同意を得て、ようやく提出に至った。


ラスウェル医師も、重い肩の荷を下ろせて、ホッとしたようだ。王宮医師は辞め、退位したシン国王……シン王子と共にこれまで同様、アサギ島で暮らすと言う。

最期までシン王子に付き添いたい。ラスウェル医師の気持ちを尊重し、レイはそれを承諾したのだった。


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