アジアン・プリンス
花嫁を花婿自身が迎えに来たのだ。

ウエディングロードは――この新しい人生は、ふたりで歩き始めよう、そう決めたからである。


レイは純白のロングタキシードを着ていた。ドレープタイとチーフはシルバーだ。戴冠式では濃紺の軍服を着用するので、結婚式くらいは、とティナが白を勧めた。


そして、少し緊張気味のレイの顔を見るなり、ティナは思った。

アズル王室の男子は全員アズル・ブルーの瞳だとソーヤは言ったが……。同じ深い海の青でも、それはひとりひとり微妙に違う。

ソーヤの瞳を見るとレイを思い出す。

だけど、彼自身にはときめかない。

ティナの胸が高鳴るのは……。


スッと差し出されたレイの左手に、ティナは自分の右手を重ねた。

その指先に、レイはそっと唇を押し当てる。彼は自分の右手を心臓の上に置き、ティナを見つめたまま言った。


「――君に永遠の愛を誓う」


ティナを虜にしたアズルブルーの瞳に、輝くような笑顔のブロンドの天使が映った。





                     ~fin~


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