アジアン・プリンス
(2)プリンスの過去
エリザベス・ジョーンズ、米国在住の36歳。父リューク・トーマス・スタンライトが王子に認められたと同時に、彼女は王女の称号と王位継承権第13位を得たのだった。
「したたかな女よ――」
アンナは窓枠にもたれながら、ティナに話し続けた。
「先々代の国王陛下がテロで亡くなってすぐ、レイにはミサキとの婚約話が持ち上がったの。でも、それを撤回してくれるよう、性的関係を盾にして父親に泣きついたって聞いたわ」
ティナにはとても信じられない。
エリザベスはレイよりずっと年上だ。しかも、禁止されている間柄ではないが、アズル王室が一族内で結婚するケースは少なく、あまり奨励されていないと聞く。
「それに……彼女の横に立つ少年。わかる?」
「エリザベス王女のひとり息子だって紹介されたわ。ご主人とは離婚したって」
「12年前、当時のスタンライト外務大臣は巨額の持参金を付けて、娘をアメリカ人男性と結婚させたのよ。結婚して3ヵ月後、男の子が生まれた。あの、アズル・ブルーの瞳を持つ少年がね。まあ、隔世遺伝はあるから一概には言えないけど」
――ひとり息子です。今年で満11歳になりました。
謁見のとき、そんな風にエリザベスは紹介した。
「したたかな女よ――」
アンナは窓枠にもたれながら、ティナに話し続けた。
「先々代の国王陛下がテロで亡くなってすぐ、レイにはミサキとの婚約話が持ち上がったの。でも、それを撤回してくれるよう、性的関係を盾にして父親に泣きついたって聞いたわ」
ティナにはとても信じられない。
エリザベスはレイよりずっと年上だ。しかも、禁止されている間柄ではないが、アズル王室が一族内で結婚するケースは少なく、あまり奨励されていないと聞く。
「それに……彼女の横に立つ少年。わかる?」
「エリザベス王女のひとり息子だって紹介されたわ。ご主人とは離婚したって」
「12年前、当時のスタンライト外務大臣は巨額の持参金を付けて、娘をアメリカ人男性と結婚させたのよ。結婚して3ヵ月後、男の子が生まれた。あの、アズル・ブルーの瞳を持つ少年がね。まあ、隔世遺伝はあるから一概には言えないけど」
――ひとり息子です。今年で満11歳になりました。
謁見のとき、そんな風にエリザベスは紹介した。