アジアン・プリンス
瞳の色は綺麗なアズル・ブルーで、それをティナが褒めると「祖父に似たのでしょう」と彼女は微笑んだ。
だが、あの少年アーロン・ルーカス・ジョーンズの髪は、光に溶けそうなチョコレート色をしていた。
「ありえないわ、そんなこと! あのレイに限って。もし、万にひとつも息子がいたら、知らん顔するような人じゃないわ!」
ティナは必死になって訴える。
だが、アンナの答えは……。
「ええ、そうね。だから余計に言われていたのよ。毎年アメリカを非公式に訪れるのは何故だろう? ってね。あれほど忙しい人よ。婚約者のいる日本にだってそうそう行ってはいなかったわ」
アンナは言葉を付け足した。
10代なんて誰でも馬鹿をやるものだ。あのレイにも、そんな若くて愚かだったころは当然ある。彼は愛人を抱える人間ではないから、エリザベスは過去の女性に過ぎないと思う。
でも、アーロンが噂どおりなら……レイは一生ふたりを見捨てることはないだろう、と。
「いいティナ? レイはそうでもベスは違うわ。虎視眈々と狙っているはずよ。そんなときに“おあずけ”なんて、もってのほかだわ!」
このとき、レイは過去においても潔癖だと、本気で信じていた自分がいるのに気づくティナだった。
だが、あの少年アーロン・ルーカス・ジョーンズの髪は、光に溶けそうなチョコレート色をしていた。
「ありえないわ、そんなこと! あのレイに限って。もし、万にひとつも息子がいたら、知らん顔するような人じゃないわ!」
ティナは必死になって訴える。
だが、アンナの答えは……。
「ええ、そうね。だから余計に言われていたのよ。毎年アメリカを非公式に訪れるのは何故だろう? ってね。あれほど忙しい人よ。婚約者のいる日本にだってそうそう行ってはいなかったわ」
アンナは言葉を付け足した。
10代なんて誰でも馬鹿をやるものだ。あのレイにも、そんな若くて愚かだったころは当然ある。彼は愛人を抱える人間ではないから、エリザベスは過去の女性に過ぎないと思う。
でも、アーロンが噂どおりなら……レイは一生ふたりを見捨てることはないだろう、と。
「いいティナ? レイはそうでもベスは違うわ。虎視眈々と狙っているはずよ。そんなときに“おあずけ”なんて、もってのほかだわ!」
このとき、レイは過去においても潔癖だと、本気で信じていた自分がいるのに気づくティナだった。