アジアン・プリンス
チカコはエリザベスを糾弾するために、エリザベスが誰とでも寝る女だと言い始めた。

そうなればエリザベスも黙ってはおらず……。あろうことかエリザベスは、現国王であるレイとの関係まで口にしたのである。


レイはそれに関しては一切認めず、ついには伝家の宝刀を抜いた。


エリザベスから称号と王位継承権を剥奪し、アズウォルドを追放する。

同時に、アーロンに王子の称号を与え、祖父のリュークを後見人として国に引き戻した。

名目的には、エリザベスはアーロンの母に相応しくなく、王子としての教育も充分に施せないから、というものだ。

そしてアーロンが18歳になったとき、自らの意思で国籍を選ぶことを許されたのである。


「アーロンは落ち着いたかい?」 


ソーヤは今回の騒動で初めて知った弟を気遣った。


「ああ。彼は物心ついたときから、ジョーンズ氏が本当の父親でないと知っていたそうだ」

「似てないから?」

「いや、父親に息子ではないと言われたらしい。ベスからも、お前の父親は誰かわからない。シン国王なら、私は王妃になれたのに……そんな言葉を酔ったときに言われたそうだ」


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