アジアン・プリンス
「じゃ、義姉上によろしく」


海軍士官らしく敬礼で別れを告げ、飛行機に乗り込むソーヤだった。



「陛下。ミズ・エリザベス・ジョーンズがアメリカの最高裁判所に、アーロン王子の親権を取り戻すべく申し立てたそうです。いかが致しましょう」


サトウは緊張した声で、飛行機を見送るレイに声を掛けた。彼はしばらく休職したあと、補佐官に復職したばかりだ。

変わらずレイの護衛官を務める彼の息子、ニック・サトウの表情も固まった。

レイは少し考え……。


「それは明日以降に考えるとしよう。まずは……私たちを待つ最愛の妻の元に戻ろうじゃないか」


レイより新婚のニックに異論はなく、サトウもひと言「……御意」と呟く。

そしてレイは踏み出した。

彼の居るべき場所へ……愛するティナの元へ、と。




                 ~fin~


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