アジアン・プリンス
(16)セラドン宮殿
「殿下。ひとつ確認したいことがあります。お尋ねしてもよろしいでしょうか?」
サトウは妙に畏まった表情でレイに問い掛けた。
「なんだ?」
「今は亡き、フサコ王太后陛下より賜りましたバングルはいかがなさいました?」
「……」
わかっていて聞くのだからたちが悪い。レイはそう思ったが口にはしない。堅物のサトウが黙っていないことは、はじめから予想していたことだった。
「私の間違いでなければ……ミス・メイソンの腕に殿下のバングルがあったようにお見受けいたしました」
「そうだ」
短く、そして明確な答えに、補佐官のサトウは頭を振った。深いため息が、彼の精神状態が良好でないことを示している。
「殿下らしからぬ振る舞いに、申し上げる言葉もございません。――4年前、マスコミのインタビューになんと答えられたか……お忘れではないと思いますが」
言葉もない、と言う割にハッキリ言っているではないか、と思いつつ……。
サトウは妙に畏まった表情でレイに問い掛けた。
「なんだ?」
「今は亡き、フサコ王太后陛下より賜りましたバングルはいかがなさいました?」
「……」
わかっていて聞くのだからたちが悪い。レイはそう思ったが口にはしない。堅物のサトウが黙っていないことは、はじめから予想していたことだった。
「私の間違いでなければ……ミス・メイソンの腕に殿下のバングルがあったようにお見受けいたしました」
「そうだ」
短く、そして明確な答えに、補佐官のサトウは頭を振った。深いため息が、彼の精神状態が良好でないことを示している。
「殿下らしからぬ振る舞いに、申し上げる言葉もございません。――4年前、マスコミのインタビューになんと答えられたか……お忘れではないと思いますが」
言葉もない、と言う割にハッキリ言っているではないか、と思いつつ……。