アジアン・プリンス
ソーヤは今も、兄の自殺未遂だけでなく、彼自身が無意識で犯した罪も知らない。
『陛下の名誉を貶めようとするなら、あなたも一蓮托生だわ! 文書にはあなたの名前があるんですもの。あなたが……』
チカコはレイより優位に立ったかのように、嬉々として犯した罪を告白した。
だがそれを聞くなり、レイは珍しく血相を変え怒鳴った。
『あなたが嵌めたのは私ではない! あなたの息子だ! 私は自分の潔白を証明できるが、彼は、母と結託して王位を狙ったとされるだろう。なぜ、ソーヤを巻き込んだ! 国事文書の偽造、同遂行、国家反逆罪で彼は死刑だ!』
その言葉にチカコは驚いた。
そして、彼女は女の……母親の武器を駆使してレイに泣きついたのである。
『あの子に届けさせた方が信用されると思ったのよ。わたくしにはなんの身分もないんですもの。国王の生母なのに……かつて皇太子妃として住んでいた王宮に、今は出入りすることすらできない。ソーヤも同じよ! 前国王の息子なのに、庶子として扱われ……。わたくしたちは国のために犠牲になったのよっ!』
チカコは更にレイの痛いところを責める。
『どうしてなの? どうして、この国には寄り付こうともしない女が王妃……今は、王太后なの? テロだってあなたのせいじゃないの!? あなたを国王にしたいアメリカが、あの大学生たちを煽動したに決まってるわ! あなたが生まれたばかりに、皆が不幸になったのよ! わたくしから身分を奪っただけでなく、夫も息子たちまで……悪魔はあなただわ……あなたが陛下を自殺にまで追いやったのよっ!』
『陛下の名誉を貶めようとするなら、あなたも一蓮托生だわ! 文書にはあなたの名前があるんですもの。あなたが……』
チカコはレイより優位に立ったかのように、嬉々として犯した罪を告白した。
だがそれを聞くなり、レイは珍しく血相を変え怒鳴った。
『あなたが嵌めたのは私ではない! あなたの息子だ! 私は自分の潔白を証明できるが、彼は、母と結託して王位を狙ったとされるだろう。なぜ、ソーヤを巻き込んだ! 国事文書の偽造、同遂行、国家反逆罪で彼は死刑だ!』
その言葉にチカコは驚いた。
そして、彼女は女の……母親の武器を駆使してレイに泣きついたのである。
『あの子に届けさせた方が信用されると思ったのよ。わたくしにはなんの身分もないんですもの。国王の生母なのに……かつて皇太子妃として住んでいた王宮に、今は出入りすることすらできない。ソーヤも同じよ! 前国王の息子なのに、庶子として扱われ……。わたくしたちは国のために犠牲になったのよっ!』
チカコは更にレイの痛いところを責める。
『どうしてなの? どうして、この国には寄り付こうともしない女が王妃……今は、王太后なの? テロだってあなたのせいじゃないの!? あなたを国王にしたいアメリカが、あの大学生たちを煽動したに決まってるわ! あなたが生まれたばかりに、皆が不幸になったのよ! わたくしから身分を奪っただけでなく、夫も息子たちまで……悪魔はあなただわ……あなたが陛下を自殺にまで追いやったのよっ!』