モノクロな僕と君

「目が覚めたか。」

「きゃ!?」

見ていた方と違う方向から声をかけられて小さく悲鳴を上げる。

恐る恐る声の主を振り返り、瞬間息を呑む。

「-・・・」

(綺麗な人・・・)

男の人に綺麗っていうのはどうかと思うが、“綺麗”、“美しい”というのがよく似合う男性が私の後ろに立っていた。

明るい茶色の髪と同じく色素の薄い茶色の瞳が、女性的な端正な顔に良く似合っている。

体系はスラっとしていて、身長も高めだ。

「腹、空いてるだろう??」

「え??」

「さっき部屋から腹鳴ってるのが聞こえた。」

「え!?!?」

言われた言葉に恥ずかしさで一気に顔が赤くなる。

(聞こえてた!?)

「ぶはっ!!」

しかし、恥ずかしげに俯いた私の頭上からいきなり吹き出す声が聞こえて、

「へ・・・??」

私の口からはなんとも間抜けな声が出た。

「はははっホントに腹鳴ってたんだな!!」

楽しげに笑う彼の言葉で実際には聞こえてなかったということが分かる。

「な・・・嘘ついたんですか!?」

恥ずかしさで声がついデカくなる。

「悪かったって。まさかホントに鳴ってるなんて思ってなかったからさー」

明るく笑う彼に、つい今の状況を忘れて見入ってしまっていた私はハッと我に返った。

(いけない!!この人のペースに巻き込まれてた・・・昨日の男達と知り合いかもしれないのに、気を抜きすぎだってば私!!)

「・・・」

黙り込んだ私を気を悪くしたとでも勘違いしたのか、彼は私の頭を優しく撫でると、

「悪かったって。とりあえず、朝ごはん食べちゃって??・・・後、質問は食べ終わってから沢山聞くから。」

と言い、私を美味しそうな匂いのする料理が並べられているテーブルに手を引いて連れて行ってくれた。


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