モノクロな僕と君
「・・・美味しい。」
(こんなスゴイ料理この人が作ったの!?)
テーブルの上には女子である私でさえ作ったことがないような豪華な料理が盛りつけられている皿達が置かれている。
「良かった。一杯食べて良いよ。」
私の向かいの席に座っている彼が、ニッコリと優しい笑みを浮かべながらそう言い、遠くの皿を近くに置いてくれた。
座り直した彼は、テーブルに持ってきてたスケッチブックを手に取ると何かを描き出すことに集中してしまった。
(うーわー・・・まつ毛長っ!!)
完璧に自分の世界に入り込んでしまった彼に話しかけられる雰囲気でもないので、食事を続けながら、色々と今の自分のおかれている状況を整理することにした。
(お父さんが[G.M.P]の社長からお金を借りてたことは知ってたし、返済期間までにお金が返せそうにないことも分かってた・・・)
(でも、私も含めた家族みんなが働いて一生懸命お金を貯めていたし、もう少しで返済出来そうだからもう少し待ってくれって社長に言ってみるってお父さん言ってたのに・・・)
結局、延ばしてくれなかったのだろう。
現に大学帰りでバイト先に向かう途中に、男達に捕まって此処に連れて来られているのだから。
向かいの席に座って今だ集中してスケッチブックに何か描いている彼を盗み見る。
(ってことは・・・彼は[G.M.P]の関係者ってことになるんだよね・・・??)
「「あ」」
盗み見ていたはずが、急に顔を上げた彼と視線がぶつかってしまいお互い声を上げた。
「な、何描いてるんですか??」
咄嗟に声をかけると彼はちょっと困ったような顔をして、
「んー・・・君に似合いそうな服をね。」
と言った。