モノクロな僕と君
(・・・名前なんて聞くんじゃなかった。)
電話の対応をしながら小さく溜息をつき、チラッと視線を食事している彼女に向ける。
“白い愛”だなんて綺麗すぎて俺には呼ぶことさえ躊躇わせる。
(彼女とは気が合いそうにない・・・)
見るからに純真そうな彼女と既に汚いことに手を染めてる俺。
白い服が似合いそうな彼女と黒い服が似合う俺。
おまけにお互いの名前にまで“白”と“黒”が入ってる。
どこまでも対照的な彼女と俺はきっと合わないだろう。
(これから彼女を堕とさないといけない訳だけど・・・真っ白な彼女を、きっとすごく傷付ける・・・)
ふと、躊躇いを滲ませた自分の考えに自分自身が驚いた。
(・・・まぁ、傷付いたからって別に気にはしないけど。どうせ堕ちた相手は父さんに送られるんだから。)
電話を受話器に戻した俺は、彼女が食事をしてるテーブルに戻った。