モノクロな僕と君


「・・・やっぱ、テレビかなぁ??」

(どうせ、借金が返せないと家には帰れないんだし・・・)

テレビのリモコンを手に取り、電源を入れる。

生活感のあまりないこの家には時間潰しができるような物はテレビとかしかない。

逃げる気が無いと言っても家からは出してもらえないだろうし、家の中で出来ることを見付けていかないといけないだろう。

(お父さん、お母さん、どうしてるかなぁ??)

テーマパークの紹介で親子が楽しそうに乗り物に乗っている場面が流れ、ふとそんなことを考える。

昨日まで何事もなく普通に会話をしていたことが懐かしく感じる。

「・・・あ!!」

とっさに携帯を鞄の中に入れていたことを思い出した私は、さっきまで寝ていた部屋にソファから飛び降りん勢いで走って行った。

(会えなくても、電話やメールくらいはしても大丈夫だよね!?)

部屋に駆け込んだ私はベッドの横や下、至る所を探し回ったが携帯どころか持っていた鞄さえ見当たらない。

(・・・誰かに助けを求めるかもって思われたから没収されたのかな・・・)

どうやら男達に捕まった時に取り上げられたようだ。

「・・・」

(お父さんとお母さんの声、聞けれないんだ・・・)

ペタン。と床に座り込んだ私の耳にはさっきまでと変わらない楽しそうな親子の笑い声がテレビから聞こえている。


その笑い声がやけに頭に響いた気がするのは、気のせいか。



< 19 / 26 >

この作品をシェア

pagetop