モノクロな僕と君
(集中しすぎてて、帰るの遅くなったな。)
俺が家を出てから10時間近く経っている。
[G.M.P]の本社から自宅に帰っていると家には彼女、“白愛”がいることを思い出した。
(・・・忘れてた・・・。)
(毎回思うけど俺の家って家具あんま置いてないから暇だろうな。何して時間を潰したんだろう。)
いつかの女性も同じように暇だと言ってた気がする。どんな女性だったかなんて、全く記憶にないけど。
「・・・」
家路を急いでいると、ふと暇すぎて勝手に色んな物見られてたら・・・という考えが脳裏に浮かび上がり、速度が余計に早くなった。
本社から対して離れていない俺の家は10階建てのマンションの最上階。そこは、本社と同じで部屋の内装はモノクロが基調とされている。
なんとなく、色の区別がしっかりついてるモノクロが好きで、色んな物をモノクロにしていると、本社も自宅もモノクロだらけになっていた。
マンションが見えてきて、自分の部屋を見てみると、自分の部屋の所だけ何故か電気が点いていないことに気が付いた。
時間的に電気を点けないと何も見えないだろうし、だからといって寝るにはまだ早い時間帯だ。
「何で点けてないんだ??節電か??」
エレベーターに入り10階のボタンを押す。乗っている間にズボンのポケットをまさぐり、家の鍵を探し出した俺は、
人差し指で鍵をくるくると回しながら10階についてエレベーターから下りると、部屋のドアの鍵を開けた。
扉を開けるとやっぱり何処の電気も点いていなく真っ暗で、物音一つしなかった。
「・・・寝てるのか??」
玄関の電気を点けて靴を脱いだ俺は、電気を点けて歩きながら寝室に向かい、寝室のドアを開いて中の様子を窺ったが、ベッドに人影はなかった。
「ってことは、ソファーか??」
そう思い、ソファーの方にも行ってみたがソファーにも寝ている彼女の姿はなかった。
(・・・ここは10階だし逃げれる場所なんてないはずだけど・・・)
考えていると、窓から風が入って来ているらしく、カーテンが揺れていた。
「??」
不思議に思いカーテンを開くと、そこには、べランダに置いてある長椅子に彼女が眠っていた。