モノクロな僕と君


(なんだ。)

なんとなくちゃんと家に居たことににホッとした俺は、ふぅと小さく息を吐いて、彼女を起こすことにした。

・・・のだが。

「おい、起きろよ。」

反応なし。

「・・・おい。」

反応なし。

イラっとした俺はちょっと荒く体を揺するが、んーと言うだけで彼女の瞼は上がりそうになかった。

(眠り深すぎだろう・・・。緊張感なくよくこんなに爆睡できるな。)

結局起きなかった彼女を、2回目のお姫様抱っこでベッドに運ぶはめになった俺はベッドに彼女を寝かせた後に、仕事の疲れもあり彼女の隣に横になった。

(疲れた・・・。)

夜ご飯もまだだし服もそのままだったが、ベッドに横になっていると疲れがドッと出てきてどーにかする気力もなくなってくる。

(少し寝るか・・・)

そう思い、瞼を閉じた時に、隣の彼女が身動ぎしたのを感じてまた眠たい瞼をこじ開けた。

すると、丁度彼女も目を開けたところでばっちりと間近で目が合ってしまった。

彼女は今の状況が掴めていないのか、俺をじっと見つめて硬直している。

「おはよう。」

そう声をかけると、彼女はハッとした様に

「あ、おはようございます!!」

と言うと、バっと起き上がった。

「何でベランダで寝てんだよ。」

俺も起きてベッドに座り直すと彼女に向かって言った。

すると彼女は俺の表情を窺いながら、

「あ、あの・・・鞄、返してもらえませんか??」

と小さな声で言った。

(・・・そういうことか。)

「親に電話でもしようとしたの??それで電話が無いことに気が付いて泣いた・・・??」

「え・・・??」

「目が赤い。」

俺は彼女の表情を窺いながらおそらく正解であろう推測を言ってみる。

すると、やはりビクッと彼女の体が揺れた。

(正解か。)


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