モノクロな僕と君
「・・・」
「太郎って呼んで良いんですか!?」
「んー・・・」
(もう一押し!!)
「あ、でも太郎って呼んだらなんか犬っぽい??」
わざと声に出しながら言ってると彼がふぅ~と息を吐き出した。
「それは、全国の太郎さんに失礼だろう。」
と言って、
「名前そんな聞きたいの??」
とまた聞いてきた。
「だから・・・」
そう言ってる、と唇を開いたときと、
「黒龍。」
彼が言葉を口にしたのは同じだった。
「くりゅう・・・」
ソレが彼の名前だと分かるのに時間はかからなかった。
彼の名前を反復すると、
「黒い龍って書いて黒龍。だよ。」
と、朝の私みたいに漢字を教えてくれた。
(黒龍・・・さん、か。)
名前も分かった所で、私はさっき言えなかったお礼を改めて言うことにした。
「あの、黒龍・・・さん。親の声を聞かせてくれるの許してくれて、ありがとうございました。」
(名前で、呼んじゃったっ!!)
1人赤くなりながら俯きつつもお礼を言った私は、彼がいつまでたっても声をかけてくれないのを不思議に思ってゆっくりと顔を上げた。
「っ!!」
顔を上げると、じっと私を見ている彼とバッチリ目が合ってしまい、逸らすのもどうかと思い恐る恐る声をかけた。
「あの・・・??」