モノクロな僕と君
(集中しすぎてて気付かなかった・・・)
俺は反射的にスケッチブックを隠すように腕を上に置いた。
デザインを描いている時に会いたくない奴№1だ。
「どうやらまたデザインを描き始めたようだな??」
隠した甲斐なく、父さんの視線は俺の腕の下ースケッチブックに注がれている。
「・・・」
内心舌打ちしながら、しかしその苛立ちを表情には出さず、
「違うよ、父さん。昔のデザインを見ていただけだ。」
スケッチブックを閉じ、近くのソファに放り投げる。
本当はそんなことしたくは無かったが・・・
“あの仕事”で心身ともに疲れている俺からこのデザイン達まで奪われたくない。
そう、[G.M.P]が商品化している洋服のデザインのほとんどは、この俺が描いたものだ。
俺が“なんとなく”描いたデザインの洋服が、思いがけず人気が出たため新しいデザインを俺が描くたびに父さんに奪われ、
父さんの[自分の作品]として発表されているのだ。
俺のデザインを“こんな男”に渡して良いと思うほど、俺の才能は安くないし心も広くない。