ENGELO
父と母が死んでから2年、つまり香恋は高校生となり、叔母紗英のいる東京へ来ていた。
今日からこっちで暮らすのかぁ···不安と期待の入り交じった複雑な気持ちで待ち合わせ場所で叔母が来るのを待っている香恋。
「お母さん、お父さん、私頑張るから。」
かつて母がくれた赤い勾玉を握りしめてそう誓った。強く優しくなれるように···。
しばらくしてやっと紗英がやって来た。
「まぁ、香恋ちゃんまた綺麗になって···待たせてごめんなさい?じゃあまず、あなたが明日から通う高校に行きましょ♪そこで寮にいって荷物の整理ね。」
これからのことを楽しそうに話す紗英をみて香恋からも笑みがこぼれた。
なんども言おう。
「ありがとう!!」
香恋がそう言うと紗英は微笑して
「こちらこそ♪」
と言って笑った。

☆凰命寺家☆
桃哉は片手で携帯を弄りながら、暇な時間を過ごしていた。
特にすることもなく退屈していたその時、携帯が急に鳴った。
それは悪友の如月律季からだった。
(もっしもーし!桃哉クゥン元気??)
電話の向こうからハイテンションな声が聞こえてきた。
「······ああ」
(何、その返事!?律季悲しい!!)
ハイハイと桃哉は軽く流した。ていうかなんでコイツ電話かけてきたんだよ!!
「···それで、用は?」
(別に、ただ明日から一緒だなあと思っただけ。)
「···ああそうだな。」
待ちわびていた時、やっとおさらばなんだ。
(じゃあな♪明日学校で)
本当になんのために電話してきたんだか··
呆れながらも桃哉の口は歪んでいた。
「ああ明日な。」
本当に明日が楽しみだ。
桃哉はそっと携帯を閉じた。




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