ねぇ、先生。




『遅れてしまってすみません。好きになるのは悪いことじゃないんですから。』

「だって、こんな思いするって知ってたら、最初から好きになんてならなかった。ゆかりんがこんなにも荒れる子だったなんて知らなかった。しゅんが浮気者だったなんて知らなかった。好きだからこそ、好きになるんじゃなかった…っ。」

『ひよりさん…。』




私は気付いたら先生に抱き着いていた。
先生も強く抱きしめてくれた。
泣きじゃくる私を支えてくれた。




『大好きなんですね。』

「え?」

『大好きだから、あなたはこんなに悩んでいるんじゃないんですか。まだ、やり直せますよ。』

「先生…私、心から後悔してます。ゆかりんと喧嘩嫌だからって、逃げてきちゃった。全力でしゅんのこと返してもらえばよかった。だってまだ大好きだから。…もしもやり直せるなら、しゅんのこと振るんじゃなかった…。」




先生は天使の笑顔で私の頭を撫でた。
そして強く抱きしめてくれた。




『がんばれよ。』




初めて、先生が敬語を使わなかった。





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