ねぇ、先生。
ここは、あの日を嫌でも思い出す。
あの日と違うところ、
ゆかりんがいない、最高の晴れ日和、というところ。
『何?話って…。』
「…もしも、まだチャンスがあるなら、やり直したい。」
『でもあの日、お前から俺を振ったんだよ。それが俺を愛してないっていう、何よりもの証拠じゃないの?』
「違うよ。ゆかりんから逃げてた。喧嘩が嫌だった。」
『…お前は、俺のことを好きって一回も言ってくれなかったんだよ。あの日、俺はお前を選ぼうとした。お前が初めて俺のこと好きって言ってくれたから。』
「ご、ごめんなさい…っ。しゅんのこと、大好きなの。忘れられないの。」
先生にしてもらったように、私もしゅんを強く抱きしめた。
愛してると、全体で伝えた。
『お前とは、やり直せない。あの日、最後まで聞いててくれたら、やり直せたかもな。』
私の中には後悔しかなかった。
なんで逃げたんだろう、私。
なんでもっともっと好きって伝えてあげられなかったんだろう。
そういえば、”ゆかりん”ってあだ名もしゅんがつけたね。
しゅんは今、ゆかりんだけなんだ。
「…じゃぁ、ゆかりんと仲良くしてやってね。」
『いや、ゆかりんとは別れる。』
「え?」
『お前の悪いところばっかし言ってるし、前のゆかりんが…大好きだった。』
「そっか…。」
『いつか、迎えに行くから、待っててね。』
「え?」
『なんでもない。』
しゅんは、ちゃんと自分を持ってる。
まっすぐで優しくて、自分より他人って人。
わがままも何でも聞いてくれた。
そんな大切な存在を私がぶち壊した。