ねぇ、先生。
『あ、ひよりさん。』
「あ、先生。」
『どうでした?うまく…いきましたか?』
「うまくいきました。先生のおかげです。ありがとうございました!」
『いえいえ』と言う先生の笑顔に、寂しさがあった。
そんな先生のことを守ってあげたくなった。
「どうかしたんですか?うかない笑顔ですね。」
『…そんなことないよ。心配してくれてありがとう。』
先生は敬語使わなくなったね。
私に親近感を持ってくれたのだろう。
嬉しい限りだ。
「あ、先生、うまくいきましたけど、しゅんとは友達です。」
『え?どういうこと?』
「振られちゃいました(笑)」
先生はあたりを見回すと私をまたギュッと抱いてくれた。
『いい男はいくらでもいる』と私を抱きしめてくれた。
先生の…甘いにおい。
私はこのにおいを嗅ぐと落ち着く。
『それじゃぁね。いつでも相談乗るよ!』
「はい!!」
先生の温もりが、
においが、
まだ残っていた。