叶わない恋。





あのデートから連休続きで俺も夏希も部活で忙しく会うことがなかった。

そして今日は4日ぶりの学校。


俺は夏希に昼休み、屋上に来るように伝えた。


昼休みまでの授業のことなんて何も覚えていない。


ずっと上の空で、窓の外から入ってくる心地いい風を感じていた。



そしていつのまにか昼休み。


俺はノロノロと階段を昇り屋上の重い扉を開けた。



屋上にはベンチが4つある。

その中の1つに夏希の姿があった。


夏希は俺を見つけると手を振り笑った。


でもきっとこれもまた、偽の笑顔。


そんなに笑わなくてもいいのに……。



俺も手を振り返しベンチに近づく。



ベンチに近づくにてれて俺の鼓動の速さが増す。


それでもそのことを察しられないように平然を装う。



『こんなところに呼び出して悪かったな。』


夏希の横に腰を降ろし、俺は口を開いた。



「全然いいしね。

丁度、屋上に来たい気分だったし?」


ウソだ…絶対ウソだ…。


お前今、爪触ってるだろ?

夏希がウソをつくときにやる癖。


幼なじみの目はごまかせないぞ??


そしてもう1つ。


桐島は生徒思いの教師。

だから昼休みは教室にいるんだ。


桐島のことが好きな夏希は教室の隅で見つめている。


俺はそんな夏希の姿も知っているんだ。



なんでだよ……。

俺の方が夏希のこと知ってるのに、


どうしてお前は俺の方を向いてくれないんだよ…



どうして桐島なんだよ…。





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