叶わない恋。
『残りあと10分です』
試験監督の先生が言う。
只今、英語の試験中。
夏希のおかげでほぼ完ぺきに解けている私。
こりゃあ試験終わったら夏希にジュースの1本でもおごろうかな
と、考えていると
『失礼します』
中澤が教室に入ってきた。
『何か質問がある人』
中澤が言うと3人くらいの生徒が手挙げる。
その子たちのところに行くついでに他の生徒の試験の様子もうかがっている。
そして夏希の席に差し掛かったとき
『おい、海道!!
これは、なんだよ?!これは!!』
中澤が声を荒げたかと思うと何か紙のようなものを手に持っている。
クラスの目は一斉に夏希と中澤の方に向く。
「はい?知りませんけど」
夏希はいつもとなんら変わりない対応の仕方。
『とぼけても無駄だぞ?!
ちょっと職員室来い!!』
中澤は夏希の腕を引っ張る。
「キモイから離せよ…。
だいたい1人でも職員室くらい行けるから。」
夏希は中澤を睨み、教室を出て行った。
クラスは何が起きたのか、とざわつく。
『みなさん、静かに。
まだ試験中です』
試験監督の先生は冷静に対処している。
それでもクラスのざわめきは収まらない。
【キーンコーンカーンコーン】
そしてチャイムが鳴りみんなは席を立ち上がる。
『ちょっと待ちなさい!!』
そんな声も無視し全員職員室へ走る。