叶わない恋。
「みんな…ちょっと聞いて」
友美は教室に戻ると教壇の前に立つ
「私…見たっていうか見えちゃったんだけど、
中澤が手に持ってたモノなんだけど…」
友美は言いにくそうに顔を歪める
「あれ……カンペだったの…」
教室中が静まる
「夏希の机の上に置いてあったらしくて、
それを中澤が取り上げたの」
私の心臓はドクンと大きな音をたてる
『はい、着席。』
そこへ桐ちゃんが教室に入って来た
『おい?陽菜?友美?どうしたんだ?』
教壇のところにいる私と友美に声をかける桐ちゃん。
「桐ちゃん…………」
私は桐ちゃんを見つめる
『ん?なんだ??』
「夏希は…夏希は……」
『夏希がどうした??』
私の隣に立っている友美は大粒の涙を零している
「夏希は…やってない!!」
私はそれだけ言うと友美の手を引っ張り教室を出た