叶わない恋。





『ぶはっ?!お前バカじゃん!!』

あたしの言葉を聞き兄貴は飲んでいたジュースを吐き出す。



「汚いなぁ~」


哀れの目で見つめるあたし。


『お前、やってないんだろ?

なんで認めちゃうのかなぁ~??


最後まで否定すればよかったのに。』


どうしてだろうな…兄貴。


自分でも分かんない。



でもあの人なら…お母さんならどうするかなって考えたんだ。


あたしの尊敬する人はお母さん。


めんどくさがりやで

マイペースで

子どものことなんかほったらかしのお母さん。



でも仕事熱心で

患者さん思いで

強いお母さん。


大学病院で働いているお母さんは教授によく嫌味を言われるらしい。


それでもそんな言葉に負けずに
”はい”と返事をしてどんな仕打ちでも受けるって言ってた。


それを聞いたときあたしは格好いいなって思った。


何をどれだけ言われようとも、

それを素直に受け入れ

我慢することも大切なんだな。って


それに嫌味を言われるってことは
少なくとも自分にもダメな部分があるってことなんだ、

ってお母さんは笑って言っていた。



だから今回のことは神様からの仕打ちだったんだよ


中澤をバカにしていた罰なんだって、

そう思ったらもう認めちゃえって自棄になった。





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