叶わない恋。





それからすぐに戻ってきた教頭たちは


『謹慎1週間です。』


と言い、生徒指導室を出て行った。



今度は中澤ではなく桐ちゃんが生徒指導室に残る。


でも桐ちゃんは言葉を発しなかった。



「桐ちゃん…ごめん。」


沈黙が耐えられなくてあたしは桐ちゃんに謝った。



『なんでお前が謝るんだよ』


桐ちゃんはあたしの頭に手を置く。



目頭が熱くなるを感じる。


久しぶりだな…この感じ。


よかった、あたしにもまだ…悲しいという感情があったんだ。


でも涙は零さないように耐える。



『俺の方こそ…ごめん』



「なんで桐ちゃんが謝るの?」



『お前のこと…守ってやれなかったから』


桐ちゃん。



さっきさ、実は聞こえたんだよ。


生徒指導室にいたら


『夏希はやってないはずです!!

だから謹慎なんて………』


って、必死にあたしをかばってくれたんでしょ?


その気持ちだけで十分だから…



ありがとう…桐ちゃん。






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