叶わない恋。
「ねぇ、大ちゃん!!
あたしと勝負しない??」
大ちゃんにバットを突き付ける夏希。
『自分で言うのもあれですが・・・
僕、一応甲子園に出たことあるんですよ??』
・・・・・・・・・甲子園??
ってそれ、すごいじゃん!!
「いいよ、別に。
そのかわりあたしは手抜かない。
だから大ちゃんも本気でやってね??」
いやいや、夏希さん・・・。
キミは何を考えているんだい・・・??
『分かりました。やりましょう』
大ちゃんの了承の声を聞き、私はマスクを付け
キャッチャーへと成りきっていく。
「陽菜!!マジ本気で行くから。」
ばーか。
そんなこと知ってるって言うの。
「大ちゃん、夏希が本気出したらなかなかすごいよ??」
大ちゃんの肩に一瞬手を置き、ポジションへ向かう。
『そろそろいいですか??』
大ちゃんは何回か素振りを終えたあと、
私のところに近づいてきた。
「はい、どーぞ。」
大ちゃんは打席に入る。
ここから大ちゃんの顔を見上げる。
今の大ちゃんの顔・・・全然違う。
ものすごく真剣で、それでも目は活き活きと輝いている。
野球大好きオーラが滲み出ている。